ピロリ菌について。感染原因はなに? 胃酸で死なないの? 胃がん、胃潰瘍との関連は?
今回はピロリ菌について。ピロリ菌が世間で知られるようになったのは、この20年くらいでしょうか? なんともかわいらしいネーミングの細菌ですが、このピロリ菌のせいで、命を落とした人はすごい数になります。
ピロリ菌は胃の粘膜に生息している細菌になります。胃には強い酸(胃酸)があるため、昔から細菌はいないと考えられていました。このピロリ菌も胃酸と接触すればひとたまりもないのですが、ピロリ菌自身が出す物質が胃酸を中和して、ピロリ菌の周りはなんとも住みやすい環境が出来てしまっているのです。
ピロリ菌は1979年にオーストラリアの先生(後にノーベル賞受賞)により発見されました。その発見以来、さまざまな研究から、ピロリ菌が胃炎や胃潰瘍などの胃の病気に深く関わっていることが明らかにされました。日本では上下水道が完備されているので感染しずらいのでが、5歳以下の胃酸が弱い時期にやられてしまいます。感染者の多くは、この幼少期にお母さんからの口移しでしたものと考えられています。子育て中のママさんや、これから出産する方たちは、ぜひともお気を付けください。
日本では50歳以上の方では、80%以上の感染率と言われています。日本の全国民の半数が感染していると考えられています。私たちが恐れるがんの多くは細胞の突然変異で起こりますが、子宮頸がんや肝臓がんはウイルス感染が原因であることが分かっています。近年、胃がんもこのピロリ菌の感染症であることが分かってきました。日本のがん患者の25%(4人に1人)がこの感染症によるがん(胃がん・子宮頸がん・肝臓がん)によるものになります。先にも書きましたが、母子感染が大きな原因です。大人同士のキスや、回し飲みをしたくらいではうつりません。大人は胃酸が多いため(乳幼児に比べ)、ほとんど感染せず、感染しても一過性で治ることが多いといわれています。
以前は、塩分を取り過ぎると胃がんになるといわれていましたが、ピロリ菌のいないところでは、胃がんにはなりません。私たち(院長53才)の年代の人は、今後、12人に1人が胃がんになる計算になります。
理由は何であれ、私の治療を受けた方は、必ずピロリ菌検査もしております。それに伴った処置もしていますのでどうぞご安心ください。
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