鍼治療で痛みは取れる? それは治ったってこと?
前回の線維筋痛症についてのブログで、下降性疼痛抑制系について近日記載するとしたので、今日は早速そのことについて。
今回のキーワードは、鍼治療・痛み・下降性疼痛抑制系です。
ブログを始めてまだ1か月半ですが、痛みについては何度か書いてきました。そこで、今日はもう少し掘り下げてみたいと思います。
まず、前回のブログでも書きました、下降性疼痛抑制系というシステムを少し勉強しましょう。ヒトには、痛みを感じるシステムと、痛みを感じなくさせるシステムが共存します。後者の痛みを感じなくさせるシステムに関与しているのが、この下降性疼痛抑制系というわけです。例えば、事故などで骨折をしたとしても、その時は痛みをあまり感じないというのは、下降性疼痛抑制系が関与していると考えられます。
上のイラストを参考にしながら読み進めてください。まず、カッターナイフで手を切ったとしましょう。イラストの黄色い矢印のところです。すると、①上行性疼痛伝導系というシステムで3つの神経を伝わって脳に痛みが伝わります。赤い長い矢印です。この時点で、発痛物質(ブラジキニン、セロトニン、ヒスタミン等)なるものが出ているので、傷口は即座に痛みを感じます。この発痛物質というのは、傷を治すのにはとても重要な役割なのですが。ここで、脳は次に痛みを和らげる作用を指示します。それが、②下降性疼痛抑制系になります。上行性とは違うルートで痛みに作用します。中脳という場所から2つの神経系に分かれます。セロトニン神経(青)とノルアドレナリン神経(緑)です。上行性の痛みの通り道である脊髄の「後角」というところに、セロトニンとノルアドレナリンを分泌して、痛みを脳に伝える上行性のルートを阻止するのです。上行性には3つの神経があると先に書きましたが、1番目と2番目の継ぎ目のところで、阻止するのです。
つまり、慢性的な痛みがある腰に鍼を刺すと、このシステムが働きます。髪の毛ほどの鍼を刺しても痛みはほどんど感じないですが、この下降性疼痛抑制系というシステムが働くのです。でもここで不思議に思わないですか? 鍼治療と称しているのに、慢性的な痛みの治療にはなっていないですよね⁉ だから、鍼を刺してもらうと2~3日は痛みが和らぐのですが、すぐに元の痛みが出てしまうんです。これって治療ではないですよね! 痛み止めと称する薬を飲むことも、痛みを止めるのではなく、薬が効いている間は痛みを感じなくさせているだけなのです。
慢性化した痛みは、身体に何らかの異常があるのです。自分では気付かないようなケガや病気があるので、痛みを出させているのです。
私の治療では、その原因を筋肉反射テストを利用して原因を探ります。レントゲンで映らない微細骨折か感染症か、はたまた、内臓が異常なのか様々です。これらはあまりに微細で微量であるため、現在の医療検査では検出できません。ですので、整形外科でさんざん検査をした後に、先生から、その痛みはあなたの気のせいではありませんか?などと恐ろしいことを言われるのです。
最後になりますが、今回のブログを読んでいて、あれっ?と思いませんでしたか?
そうです。セロトニンです。セロトニンは発痛物質でもあり、痛みを緩和する物質でもあるのです。アミノ酸の一種であるこのセロトニンは、血管の緊張を調整する役目があります。血液中にある血小板から遊離して作られる物質です。ヒトの体は実に良くできていて、A、B、Cという物質が存在しているわけではないのです。αがaになって、さらにAになるのです。発痛物質も元は、細胞だったり血液だったりATPというエネルギーの元だったりします。
痛みを感じない、先天性無痛症という方がいますが、この方たちは長生きできません。
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